宋 法常 写生
法常(13世紀頃)、俗姓は李、号は牧渓、四川の人。走獣画や山水画、人物画をよくした。装飾的な表現はなく、簡潔に描かれている。
この巻は法常の墨戯の作を模倣したもので、様々な花や野菜、果物、鳥類などが描かれている。気ままに筆を走らせ、ごく自然に写生しているように見えるが、花の一輪、葉の一枚に至るまで、全てに生気溢れる精緻な表現が見られる。巻頭の水墨による牡丹は没骨法で描かれている。花弁や葉の重なる箇所が白く残されており、筆遣いはもちろん、墨の置き方も雅緻に富み、諸家の画風を取り入れているだけでなく、法常独自の画風も見られる。