宋代の花箋 特別展,展覧期間  2018.01.01-03.25,会場 208、212
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展示概要

 本特別展「宋代の花箋」では、宋代の「砑花箋」を中心に展示を行います。「花箋」は装飾された便箋を指し、「砑花」は彫板に紙を押し付けて凹凸模様を刷り出す技法のことです。文献に記載のある砑花箋は五代まで遡ることが可能ですが、伝世の実物で最も早い時代の砑花箋は北宋時代のものが残されているのみで、一般に公開されている砑花箋はごく少数しかなく、比較的有名な幾つかの例が繰り返し引用されているため、宋代の砑花箋は非常に稀少なものだと思われがちです。目下のところ、砑花箋に対する理解や研究は明清時代の作品が中心で、現存の実物を比較的容易に目にすることができるため、砑花箋は明代から清代にかけての流行だとする説も生じました。しかし、詳細な観察と研究を経て、本院が所蔵する宋人の書画作品中、二十数点もの作品に貴重な砑花箋紙が使用されていることが判明しました。かなりはっきりと模様が見られる数点は学界からの注目も集めましたが、そのほかの多くはいまだ知られておらず、紙に施された模様に関しては「群盲象をなでる」ような状況にあり、その全体像をうかがい知るのは困難です。

 この度の特別展では計20点の書画作品が展示されますが、その内、宋人の書簡が多数を占めています。数点の便箋は模様が鮮明に見て取れますが、ほとんどの作品は肉眼で模様を確認するのも難しく、これまでは無地の便箋だと誤認されていました。こうした装飾はいずれも目立たず、ごく質素なものですが、極めて精緻な作りの宋代の花箋です。製作技法や表装過程などの要素に加え、千年近い歳月を経た紙は模様の識別すら非常に難しく、特殊な撮影技術を用いることにより、千年近くもの間埋もれていた模様が再び見られるようになったのです。宋人の書画に隠されていた装飾模様がよくおわかりになるよう、原作のほかに模様を撮影した画像も合わせて展示し、日常的に尺牘を書きしたためる文化に彩りを添えた、宋代の砑花箋芸術とその洗練された美をご覧いただきます。

展示作品解説

展示作品リスト

朝代
作者
作品名
形式
サイズ (cm)
備註
李宗諤
書送士龍詩
34.8x31.1
張方平
書尺牘(名茶帖)
25x32.2
蔡襄
書尺牘(陶生帖)
29.8x50.8
蔡襄
致通理当世屯田尺牘
29.7x39.7
蘇軾
致運句太博尺牘
25.6x24.5
蘇軾
致至孝廷平郭君尺牘
26.5x30.5
蘇軾
書尺牘(致長官董侯尺牘)、(久留帖)
27.7x38.3 25.1x23.1
蘇軾
書尺牘(屏事帖)
25.1x23.1
王鞏
書尺牘
27.6x34.5
黄庭堅
致斉君尺牘
27.8x48.5
薛紹彭
書尺牘
28.1x38.4
胡安國
致伯高太博尺牘
26.4x38.5
宋徽宗
池塘秋晚図
33x237.8
1/1-2/12(43日間)
米芾
書離騒経
35.5x30.8
2/13-3/25
揚旡咎
書尺牘
26.8x30.8
杜良臣
致中一哥新恩中除賢弟尺牘
25.7x36.3
張即之
致殿元学士尺牘
30.7x53.6
張即之
上問尊堂太安人尺牘
29.5x47.2
陸秀夫
致義山尺牘
30.4x49.1