国立故宮博物院所蔵の書画作品は中華民国文化部『文化資産保存法』の定義によれば「古物」に分類されます。文化部が定義するところの「古物」とは、各時代の各民族により人為的な加工が施された、文化的に意義のある美術品を指します。また、これらの古物はその作品の芸術性や重要度により、「国宝」と「重要古物」、「一般古物」の3種に分類されます。
当初、これら古物の分類作業は該当作品を所蔵する各公立機関により行われました。故宮では民国94年末(2005)に一時的な分類作業を完了し、その後、民国97年(2008)から行政院文化建設委員会(文化部の前身)の古物審議委員が、それ以降に開催された書画展覧会の度に実物を精査した上で書面による審議を行い、国宝と重要古物指定の参考とし、公告により指定作品が周知されました。民国106年(2017)7月までに文化部指定の国宝として通知公告がなされた作品は184点あり、重要古物は352点に達しています。
特別展「国宝の誕生」は優れた書画作品の展示と解説を通して、ご観覧の皆さまに古物の等級制度と主旨、その成果についてご紹介します。この度の特別展では45点の作品を展示いたします。その内の34点は国宝、11点は重要古物に指定された書画です。東晋の王羲之(303-361)や唐代の韓幹(8世紀)、宋代の燕文貴(967-1044)、文同(1018-1079)、徽宗帝(1082-1135)、高宗(1107-1187)、陸游(1125-1210)、朱熹(1130-1200)、蘇漢臣(12世紀)、牟益(1178-?)、元代の高克恭(1248-1310)、趙孟頫(1254-1322)、陳琳(1260頃-1320頃)、呉鎮(1280-1354)、張雨(1283-1350)、趙雍(1291-1361)、衛九鼎(14世紀)、倪瓉(1301-1374)、明代の辺文進(1356頃-1428頃)、戴進(1388-1462)、商喜(15世紀)、唐寅(1470-1524)、仇英(1494頃-1552頃)、清代の王翬(1632-1717)、惲寿平(1633-1690)などの代表作をご覧いただきます。いずれの作品も美術史に名を残す傑作ぞろいです。
本特別展の開催期間は10月4日から12月25日までとなりますが、展示作品中20点は展示期間に制限があるため、前期(10/4~11/4)と後期(11/15~12/25)に分けて展示いたします。これほどの規模で名高い作品が同時に展示される機会はめったにありません。この機会にぜひ故宮に足をお運びになり、国宝に指定された名品の数々をじっくりとご鑑賞ください。