掛画
古くから文人たちは書画の収蔵を好み、収蔵した山水画を部屋に飾っていました。それを「掛画」と言います。掛画は文人だけの流行ではなく、裕福な家でも宴席や商売の場で賓客をもてなすために掛画が行われました。掛画が居住環境に風流な雰囲気を添えてくれたのです。
南宋 趙希鵠 洞天清録
- 国家図書館蔵
- 明万暦三十一年 (1603)銭塘胡氏刊本
- 縦 26.5 cm 横 16.2 cm
この書籍は南宋の文人趙希鵠が考証した各種古器や書画についての所感をまとめたものである。趙希鵠は家での日常的な「掛画」には決まり事があるとしている。室内に3、4軸の名画を掛けるのが理想的で、3日か5日ごとに交換する。絵の前には桌案を一つ置くのがよく、それによって絵から距離を取り、絵を守ることができる。桌上には香炉や琴、硯を置くのがよい。猛暑或いは酷寒、どちらも掛画に適さない。これらの記述から、絵画を鑑賞する収蔵家たちは単に「儀式的な雰囲気」を求めたのではなく、気温と湿度が名画に与える影響にも気を配っていたことがわかる。