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展示概要

 国立故宮博物院が所蔵する書画作品は芸術性の違いによって「国宝」と「重要古物」、「一般古物」の3種類に分類されています。民国97年(2008)から行政院文化建設委員会(文化部の前身)古物審議委員が、故宮で開催された書画展覧会の度に実物を精査した上で書面による審議を行い、その結果を国宝と重要古物指定の参考とし、指定作品が公告されました。現在は国宝指定作品も大幅に増加し、全国一の数量を誇っています。

 故宮が推進した所蔵作品の等級分けの成果をご覧いただくため、民国109年(2020)から正館107陳列室を「国宝鑑賞」専用の展示室とし、毎回2点の国宝指定書画作品を選出して展示することとなりました。展示期間は3ヵ月間を原則とし、定期的に作品を交換する予定です。「70点の展示制限付き書画作品」に分類される作品の場合、展示期間は42日間のみとなります。

 展示される国宝指定作品はいずれも美術史上名高い傑作揃いです。名品の鑑賞を通して、国宝指定作品への理解を深めていただき、歴史ある文化財に対する保護意識を高めることを目的としています。

展示作品解説

  • 宋 燕文貴 奇峰万木

    • 形式:冊
    • サイズ:24.5x26 公分
    • 文化部により国宝に指定(2011年4月)

     高山の景色が描かれている。遠方の山々は全て雲気の上に聳えているが、近景の山は頂のみ描かれている。3組の山体が見事に呼応しており、余白で表現された雲霧がそれを引き立て、画面は小さくとも、遙か遠くまで続く広大な風景が描写されている。特に目を引くのが、石塊の分割法で、かなり多くの皴染を用いて岩石の質感が表現されている。筆法は李唐に近く、「万壑松風」と「江山小景」の間に位置する転換期の作品と見なすことができよう。本作に款印はなく、題簽には「燕文貴奇峰万木」とあるが、北宋時代に活動した院画家燕文貴(967-1044)の風格とは関わりがなく、おそらくは南宋初期に李唐の影響を受けた画家による佳作であろう。

  • 宋 蔡襄 尺牘 (陶生帖)

    • 形式:冊
    • サイズ:29.8x50.8 公分
    • 文化部により国宝に指定(2012年3月)

     蔡襄(1012-1067)、字は君謨、福建仙遊(現在の福建省莆田市仙遊県)人。書法は虞世南、顔真卿を学び、晋人の法も取り入れた。この帖は線の太さの変化が大きく、外縁は簡潔かつ爽快な感があり、末筆に筆心の見える箇所が多い。おそらくこの書に用いられた筆の筆管は短くて太く、穂は硬めだと思われ、記載のある散卓筆に近い。散卓筆は当初、穂にリスの尾が使われていたが、後に梅尭臣がキヌゲネズミのヒゲを取り入れると、杜衍や蔡襄などの文人らに好まれたと言われる。この筆は文中で「大佳物」と称される、リスの尾とネズミのヒゲを用いた「散卓」に違いない。良質の筆に花卉巻草模様入りの高級な砑花箋、そこに卓抜した書法が加わり、本作の真摯な創作姿勢や、北宋時代の文人らの書写用具とその材質に対するこだわりが見て取れる。

  • 展示作品リスト

    年代 作者 作品名 形式 サイズ(cm)
    燕文貴 奇峰万木 24.5x26
    蔡襄 尺牘 (陶生帖) 29.8x50.8
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