メインコンテンツへ移動
:::

展示概要

 「職貢」とは、王朝時代の対外交流で行われた特殊な礼制のことです。朝貢国が宗主国に対する務めを果たして貢納し、宗主国に赴いて朝覲した後に冊封を受け、賞賜されることを指し、それにより臣服の意を示しました。東アジアにおける職貢制度の成立は先秦時代に遡ります。西周では甸服や侯服、賓服、要服、荒服などの朝貢服制により、周天子と諸侯、辺境民族との関係が定められていました。西周の朝貢制度に深く植え付けられた「非平等関係」と「中華思想」は後世の対外交渉にも影響を与え続け、「職貢図」にもそれが反映されています。

 「職貢図」には、国交のある国と従属国、辺境の部族の図像が描かれており、遠方から朝覲した使節の絵図はもちろんのこと、各地からの進貢品で諸国の来朝を象徴的にを示した絵図なども、広義の「職貢図」とみなすことができます。「職貢図」は国力を顕示するとともに、民族融合の象徴でもあり、「大一統」を知らしめるプロパガンダとしても有用だったために統治者から重んじられ、各国の使節が来朝する盛況を描いた絵図が、歴代朝廷の勅命により制作されました。

 国立故宮博物院では「職貢」を題材とした作品を多数収蔵しています。この度の特別展では20点の書画作品を展示し、「職貢図」の変遷を整理した上で文章などの考証を行い、「職貢図」の作風について分析します。史実と想像が交じる「閻立本職貢図」、中国を世界の中心として描いた「契丹使朝聘」、華夷の別を暗に示した「李公麟万国職貢図」、地政学的な内容の「閻立本王会図」と「顧徳謙摹梁元帝蕃客入朝図」、統治政策を表した「明太祖御筆」と「謝遂職貢図」のほか、動物を引き連れた人物を描いた典型的な様式には「周昉蠻夷執貢図」や「明人画麒麟沈度頌」などがあり、いずれの作品も諸国との往来を描いた貴重な絵図です。

TOP