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展示作品解説

  • 漢 仇靖 李翕碑

    • 形式:額装
    • サイズ:151.6x203 cm

     171年に制作された摩崖刻石で、「李翕碑」または「西狹頌」とも言われる。甘肅省成県に位置する天井山の岩壁に刻されたもので、西狭桟道を整備した李翕の功績を称揚している。仇靖が撰文、書写した。筆画の太さにはあまり変化が見られず、起筆と収筆の多くに方筆が用いられ、稜角が見て取れる。筆を回転させる際に円筆が交じり、剛柔を備えている。撇、捺の提按に含みがあり、それが古朴な味わいを増し、穏健な美を高めている。全体に字形は方形で、広く取られた余白の間隔は等しい。行と列も整い、章法も謹厳である。端正かつ荘重な趣が漂い、堂々たる風格がある。

  • 宋 葉夢鼎 呈舶管朝議劄子

    • 形式:冊頁
    • サイズ:34.3X27.9 cm

     葉夢鼎(1200-1279)、南宋の名臣。しばしば民の命を救い、賈似道(1213-1275)と対立した。
     この書は、1273年頃に罷免され隠居してから書かれたものである。全文が「顔体」楷書の筆法を用いた行書で書いてあり、横は軽やかで縦は重い。筆法を見ると、多くが方折、出鋒となっており、筆勢に昂揚感がある。線の長短、軽重、集散が強烈な対比をなしている。字形は時に長く時に扁平で、変化が大きい。しかし、細長い字形の内側に窮屈さは感じられず、扁平な幅広の文字にも無用な重厚さはなく、充実した中に小気味よく軽快な味わいがある。

  • 元 呉志淳 墨法四首

    • 形式:冊頁
    • サイズ:29.4X58.4 cm

     呉志淳(14世紀頃活動)、詩人、篆刻家。特に隷書を得意とした。
     この作品は自作の七言絶句四首が章草で書かれている。得がたい良作を讃え、友を懐かしんでいる。一つ一つの文字は独立し、字形は緩やかである。点と短い横画は重く、捺筆の波磔が目立ち、隷書の余韻が感じられる。それとともに康里子山(1295-1345)の法も取り入れており、長く引いた線、右肩上がりの文字、中宮の引き締まった字形が多く見られる。方筆が多用され、「転」よりも「折」が多い。作者の才華が充分に発揮され、剛健な気風と険峻の美に満ちている。元代末期から明代初頭における、古代の書風を当代に生かした章草書の佳作である。

  • 清 翁方綱 摹華山碑

    • 形式:軸
    • サイズ:181x100 cm

     袁逢が165年に建立した「華山碑」には、漢代の皇帝が山を祀り、廟の修築や雨乞いなどを行ったことが記録されている。それを書き記した郭香察の名も残されているのは非常に珍しい。原碑は陝西省華山西嶽廟にあったが、1555年に発生した地震で損壊し、わずか4枚の拓本が残されているのみである。
     本作は、1789年に翁方綱(1733-1818)が拓本を双鉤廓填で写し取ったもので、唐人の題記も合わせて模写されている。字形は正方形に近く、線も若干細く硬さもあるが、原碑の全貌がうかがえる、書法史の研究においては貴重な資料だと言える。

  • 清 陳衡恪 臨爨宝子碑

    • 形式:軸
    • サイズ:89x48.2 cm

     陳衡恪(1876-1923)、字は師曽、江西省義寧州の人。著名な書画家、篆刻家。
     この作品は「爨宝子碑」を節臨したもので、原作の筆法─方筆、出鋒に円筆と蔵鋒を加え、線の造形をより豊かに、細緻にしている。字形は原作より方形に近く、大字は小さく、小字は大きく変えるなど、巧みに構成されている。一行目と三行目は対称的に配置されているが、二行目はややずれており、実の内に虚が醸し出され、正奇相生じる感がある。正しく佳作である。

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