展示概要
国立故宮博物院が所蔵する書画作品は芸術性の違いによって「国宝」と「重要古物」、「一般古物」の3種類に分類されています。民国97年(2008)から行政院文化建設委員会(文化部の前身)古物審議委員が、故宮で開催された書画展覧会の度に実物を精査した上で書面による審議を行い、その結果を国宝と重要古物指定の参考とし、指定作品が公告されました。現在は国宝指定作品も大幅に増加し、全国一の数量を誇っています。
故宮が推進した所蔵作品の等級分けの成果をご覧いただくため、民国109年(2020)から正館107陳列室を「国宝鑑賞」専用の展示室とし、毎回2点の国宝指定書画作品を選出して展示することとなりました。展示期間は3ヵ月間を原則とし、定期的に作品を交換する予定です。「70点の展示制限付き書画作品」に分類される作品の場合、展示期間は42日間のみとなります。
展示される国宝指定作品はいずれも美術史上名高い傑作揃いです。名品の鑑賞を通して、国宝指定作品への理解を深めていただき、歴史ある文化財に対する保護意識を高めることを目的としています。
展示作品解説
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宋 朱熹 易繫辞
- 形式:冊
- サイズ:44x71.4 cm
- 2016年4月、認定及び公告
朱熹(1130-1200)、字は元晦、号は晦庵、徽州婺源(現在の江西省)の人。南宋の重要な理学家。後世に絶大な影響を与えた『四書集注』など、多数の著作がある。
本冊には『易伝』から取られた、現存する数少ない朱熹の大字墨蹟が収録されている。各行に2文字が書いてあり、結体は上部が重く、下部は軽い。筆勢は重々しく、運筆に速度が感じられる。線の墨色は黒々としているが、飛白が見られる箇所もある。伝世の大字書法中の佳作である。
民国72年(1983)、林宗毅氏(1923-2006)寄贈。 -
明 唐寅 採蓮図
- 形式:卷
- サイズ:35x150.2 cm
- 2015年1月、認定及び公告
唐寅(1470-1523)、字は伯虎、号は六如居士、江蘇呉県(現在の江蘇省呉中区)の人。書画と詩文に才を発揮した。明代中期の蘇州地域では非常に高名な文人兼職業画家だった。
夏の早朝、まだ朝もやが残る蓮池と蓮の間を縫うようにして進む扁舟、舟上の仕女が描かれている。全体の墨色は穏やかで、景物の造形は簡略化されているが、蓮の葉の栄枯盛衰や、軽やかな柳の枝の柔和な美しさなど、至るところに熟達した筆致が見て取れる。盛年期の画風とは異なっており、署款を見ると、唐寅が51歳の時の作品だと知れる。
展示作品リスト
年代 | 作者 | 作品名 | 形式 | サイズ(cm) | 備考 |
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宋 | 朱熹 | 易繫辞 | 冊 | 44x71.4 | 2016年4月、認定及び公告 |
元 | 唐寅 | 採蓮図 | 卷 | 35x150.2 | 2015年1月、認定及び公告 |