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展示作品解説

  • 清 華嵒 写生冊(一)

    • 形式:冊
    • サイズ:20.2x25.6 cm

     華喦(1682-1756)、字は秋岳、号は新羅山人。初期は惲寿平(1633-1690)、朱耷(1626頃-1705)、石涛(1642-1707)、陳洪綬(1598-1652)から影響を受けたが、その後は独自の画風を確立し、「揚州画派」の一人となった。題材は人物や鳥類、草虫、蓄獣、水生動物など幅広く、生き生きとしてユーモラスな生き物たちは表情も豊かで、その性質までもうかがえる。この冊には署名も年款もないが、晩年(60歳頃)の作である。
     蘭千山館寄託作品。

  • 清 石涛 憶箇山僧図

    • 形式:軸
    • サイズ:63.9x37.8 cm

     石涛(1642-1707)、本名は朱若極、号は大滌子、清湘老人、苦瓜和尚など。明朝皇室の末裔で、明朝滅亡後は出家して僧侶となり、安徽宣城や黄山を気ままに旅した後、金陵や揚州などに隠居した。山水や花果、蘭竹画に長けていたが、伝統的な画法に縛られず、構図にも独自の風格がある。この作品には、川の流れと川面に浮かぶ舟、岸辺で魚を捕る漁師が描かれている。描き込みは少なく、洗練された筆致が見られる。飾り気のない素朴な作風は八大山人にやや似ている。
     王世杰氏寄贈。

  • 清 虚谷 菊花

    • 形式:軸
    • サイズ:110.3x31.4 cm

     虚谷(1824-1896)、安徽歙県(現在の安徽省黄山市歙県)の人。俗姓は陳、朱という姓の記録もある。名は虚白。山水や花卉、青果、禽虫などの絵を得意とし、乾筆偏鋒を用いて描いた作品は、涼やかな雰囲気のある斬新な画風で独特の趣がある。この作品には満開の菊の花が描かれている。花弁は乾筆双鉤、葉は濃淡異なる点を伸ばして描かれており、乾潤あい交じる内に深浅が溶け合い、乾いた茎と黄色い蕊が互いに映えて、清雅な趣が一層高まっている。
     蔡辰男氏寄贈。

  • 民国 斉白石 酒柿

    • 形式:軸
    • サイズ:135.5x61.6 cm

     斉白石(1864-1957)、湖南湘潭(現在の湖南湘潭市)の人。本名は純芝、後に名を璜に改める。字は萍生、号は白石。もとは木工だったが、後に絵画を学んだ。山水や人物、花卉、草虫画などに優れ、ありふれた日常の一齣を題材とした。この作品には赤褐色の酒壺と、その手前に置かれた持ち手付きの籠が描かれている。籠の一つには黄色い柿が、もう一つには百合根が盛られている。跋文には「百事不如飲酒強。」とある。器類の高低と大小の違いによる対比、色彩の濃淡の変化が生かされた、バランスのよい画面となっている。
     蔡辰男氏寄贈。

  • 民国 王震 枇杷麻雀

    • 形式:軸
    • サイズ:119.8x32.2 cm

     王震(1867-1938)、浙江呉興(現在の浙江省湖州市呉興区)の人。字は一亭、号は白龍山人。人物や花鳥、走獣画を得意とした。任伯年(1840-1895)と呉昌碩(1844-1927)の特徴を融合させた、海上派の名家である。この作品には、葉の生い茂る枝とたわわに実るビワ、その上を飛び交う3羽のスズメが描かれている。癸酉(1933)秋の作。にぎやかだがほのぼのとした日常を描写した画面は写意で表現されおり、温かみのある着色は趣深く、墨彩と溶け合っている。
     吉星福、張振芳ご夫妻寄贈。

  • 民国 陳衡恪 石榴萱花

    • 形式:軸
    • サイズ:138.4x34.7 cm

     陳衡恪(1876-1923)、江西義寧(現在の江西省九江市義寧県)の人。字は師曽、号は朽者、朽道人など。天賦の才に恵まれ、10歳ですでに大字を書くことができ、神童と言われたという。日本に留学して博物学を学んだ。篆刻にも優れ、その作品は古拙かつ純朴な風格がある。この絵には、ザクロやワスレグサが描かれている。力のこもった用筆、たっぷりと水を含んだ線、ごく自然で滑らかな筆致が見られる。明代の陳淳や徐渭を追随しつつ、民国の呉昌碩の筆意も取り入れており、写意の風格と金石派書法の重厚な趣も感じられる。
     林宗毅氏寄贈。

  • 民国 傅抱石 雪意図

    • 形式:軸
    • サイズ:89.7x57.2 cm

     傅抱石(1904-1965)、江西新喻(現在の江西省新余市)の人。本名は長生、瑞麟、号は抱石斎主人。早年は日本に留学。山水画と人物画に長け、中西の画法を融合させつつ、大自然に学んだ。画中には雪に覆われた峰が聳え、雪道を進む三人の姿が見える。全体に乾湿の交じる生き生きとした筆致で描かれている。前景の樹木と岩石の墨色は濃く、余白で表現された雪山と強烈な対比をなしており、真冬の寒さが迫ってくるようである。用筆は簡素だが深遠な味わいがあり、老練な中に伸びやかな雰囲気も漂う。
     蔡辰男氏寄贈。

  • 民国 黄賓虹 黄山丹台

    • 形式:軸
    • サイズ:90.2x32 cm

     黄賓虹(1865-1955)、本名は質、号は賓虹、安徽歙県(現在の安徽省黄山市歙県)の人。跋文に「松篠蔽行径、黄山有丹台。拾級臨絶頂、峰巒面面開。丁亥(1947)賓虹。」とある。この作品には、峰々が連なる黄山の特異な風景と丹台が描かれている。黄帝と容成子(伝説上の仙人)、浮丘公(伝説上の仙人)が煉丹術を使って霊薬を作ったという伝説があり、丹台という遺跡が残されている。山間に隠された丹台には幽玄な趣があり、筆墨は重厚かつ豊潤な境地を表現しようとしている。
     蔡辰男氏寄贈。

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