ブランドの物語─乾隆帝の文物コレクションと包装の美,展覽日期:2017/12/08-2018/03/07,陳列室:105,107
ブランドの物語─乾隆帝の文物コレクションと包装の美,展覽日期:2017/12/08-2018/03/07,陳列室:105,107
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古美術を愛した乾隆帝

乾隆帝は多数の美術品が収蔵されている宮廷で、古い書物を熱心に閲読したり、古物の鑑定や古書画の観賞を楽しんだりしただけでなく、収蔵品の由来や制作過程も明らかにしようとしました。また、古代の文物にまつわる儀式を取り入れたり、賦詩の題として個人的な思いを詠じたりと、個々の文物に寄せた詩文や君臣揃っての作品鑑賞と品評などを通して、収蔵文物に所有者としてのしるし─印章や作品に直接刻した詩文などを残しました。乾隆帝が自ら研究や保存に努めたこれらの骨董品は、一人の皇帝の「古代」に対する関心の高さを示すのみならず、意図して古人との対話を行って古代との繋がりを結び、古代と当代が呼応する歴史的な軌跡を改めて築くに至りました。第2章の展示作品からは、乾隆帝が各文物の質感や款識の持つ意味に特別な注意を払っていたことがわかります。制作年代を推定する際はそれらを根拠としたほか、古い時代の典故も用いて考証を補いました。御筆による序文の多くに「崇儒重道を実践しつつ詩文による教化を重んじ、礼楽を盛んにして民を善へと導く」と記されているのと同様に、乾隆帝の骨董品鑑定や評価は歴史を鑑とすることを目的としていました。

  • 斎家文化  玉璧

    斎家文化

    玉璧

    1. 附清代乾隆時期木插屏架
    2. サイズ:最大径 28.4cm 孔径 5.4cm 較厚 1.9 cm

    璧は古代、天を崇める祭祀用の器で、経書、礼書、或いは世人の心中で絶対的な権威を有していました。この璧は非常に大きく、文様もありません。一面は平らで、もう一面は崩れた岩に囲まれているようです。乾隆帝は殊の外この玉璧を愛し、二首の御製詩を吟詠しています。この御製詩から、乾隆帝が特にその材質、色彩、形式を賛美すると同時に、時代への推断も重視し、一般に言われている「漢代説」を覆し、この尊い器物は虞夏時代のものであると見なしました。このような大昔の礼器を持つことで、思いを馳せる上古時代と交流することができるのです。

  • 春秋時期 邾大宰鐘

    春秋時期

    邾大宰鐘

    1. 附清代乾隆時期紫檀木架
    2. サイズ:高さ22.2cm 深さ9.8cm 幅12.2cm

    この春秋時代の作品-環鈕鐘は、春秋時代の邾国の器で、乾隆帝が外側の木製の枠を取り付けました。
    乾隆が好んだ珍しい古代の玉器、磁器上に刻まれた御製詩文や璽印(印鑑)に較べて、銅器は硬いため、文字を刻むことは困難です。このため、乾隆帝は銅器に対する観点と見方を木の枠上に記しました。こうして枠上の面には乾隆帝の御題詩が、架欄には8人の臣と乾隆帝のこの鐘を詠んだ詩句などが書かれています。

《御筆詩経図》

  1. 清 高宗敕編
  2. 清乾隆間御筆写本

乾隆帝は前後して二度、自らの手で《詩経》三百篇を書いています。同時に画師に命じて、南宋の画家-馬和之の筆意を模してアレンジし、《御筆詩経図》の制作を命じました。どっしり落ち着いた様は、皇帝が持つ詩徳を以て教化する文化的思維が表れており、また徳の高い優れた君主の政治への期待ともなっています。乾隆四十一年(1776)に制作された《御筆詩経図》は、大型で外側が紫檀の木で覆われた蓋付きの箱が作られ、どの箱にも五冊ずつ収納されています。ここからこの作品が如何に重視され、大切に保存されていたかを知ることができます。

《御筆詩経図》