肉形石

肉汁たっぷりでいい香りが漂ってきそうな「肉形石」は玉髄類の一種である碧石(ジャスパー)で作られています。もともとある縞模様がおいしそうな豚バラ肉を連想させます。この模様を生かして上から下へと色の濃淡を変えて染められており、醤油で煮込まれた豚肉のような色艶が表現されています。上部の表面にぷつぷつと開けられたごく小さな穴が毛穴のように見えます。硬い石材なのに鍋から取り出したばかりの豚の角煮にそっくりで、柔らかなゼラチン質の皮がぷるぷるしているようです。

色や香り、味までも伝わってくるような「肉形石」は、伝統料理とその背景にある文化の結晶であり、私たちの記憶の中にある美味を思い出させてくれます。

展示替え情報

肉形石

翠玉白菜

翡翠で作られた「翠玉白菜」は国立故宮博物院で最も愛されている作品の一つです。翡翠本来の色を巧みに生かして、濃い緑の部分で層になって重なる葉が表現されています。白い部分には亀裂や雑物もありますが、水気たっぷりの新鮮な芯がうまく表現されています。葉先にとまるキリギリスとイナゴを見ると、生命力溢れる田園風景が思い起こされます。

かつて「翠玉白菜」は宮中の華麗な置物の一つでした。根元は木彫りの霊芝に植えられ、盆栽のように琺瑯(七宝焼きの一種)の鉢に立ててありました。高価な宝石である翡翠と長寿や吉祥の象徴である霊芝、色鮮やかな掐絲琺瑯の鉢に植えられていた「翠玉白菜」は、今もみずみずしい輝きを放ち続けています。

翠玉白菜

アステカ帝国 黒曜石鏡

この鏡は15~16世紀にアステカ帝国(中米)の工匠が国内で産出した黒曜石を用いて作ったものです。両面が艶やかに磨いてあり、黒曜石の中に雲霧のような模様が見えます。黒曜石鏡は、戦争や魔術、夜空の神であるテスカトリポカ(別名「煙を吐く鏡」)の象徴とされ、統治者が神と交感する際に用いる媒介でもありました。

この鏡は順治帝の頃にはすでに清朝宮廷に収蔵されており、宣教師アダム・シャールにより鑑定済みでした。清代の乾隆帝と道光帝もこの鏡のために詩を書いており、多くの皇帝から大切にされていたことがわかります。

黒曜石鏡