典蔵新紀元-近現代名家対聯展,展出時間 2016/06/01~2016/08/25,北部院區 北部院區 陳列室 105
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展示概要

国立故宮博物院の充実した書画コレクションは一朝一夕に築かれたものではありません。本院所蔵の書画作品は、本院創立の際に清朝内府の書画旧蔵品をそのまま継承したもので、歴代王朝によって収集された名品ぞろいです。民国38年(1949)に国民政府が台湾に移転された後もコレクションの拡充が進められ、積極的に書画作品の収集に努めたほか、各界の名士や収蔵家をはじめとして、各機関、団体からもご寄贈いただき、永続的な発展の基礎が固められました。ここ数十年の間に新たに収蔵された書画作品は6千点を超え、質量ともにすばらしいコレクションとなっています。

近年のコレクション拡充は故宮の運営方針と時代との繋がりを示しています。民間からの助力を得て、中華文化をより豊かなものとするために、新しい時代に向け一歩一歩邁進しています。これまでの道のりを振り返り、ご所蔵の名品を個人のものとせず、快くご寄贈くださった各界の皆様方に心より感謝申し上げます。この度は「典蔵新紀元」と題して、近年ご寄贈いただいた多数の書画作品のほか、来台後に新規購入した作品、ご寄託いただいている書画作品を合わせて展示し、公的機関と民間が力を合わせた成果をご覧いただきます。

五代を起源とする「対聯」は、吉祥語(縁起のよい言葉)の対句を2枚の紙に書いて並べる書法作品の一つとして発展しました。時代の移り変わりとともに、文人たちは詩歌や駢文を書く際に使う「対仗」という技巧を生かして聯句に工夫を凝らし、優美な書法で表現するようになり、それを応接間や書斎に掛けるのが書法表現の特殊な様式の一つとなったのです。対聯は入口に掛けられることが多いため、「楹聯」とも言われます。「楹」とは入口の柱のことです。この度の特別展は「典蔵新紀元」シリーズの一つとして、近年、故宮に収蔵された20世紀の対聯の名品50点を展示し、各書家の長所や特色鮮明な対聯の風韻をご覧いただきます。今回展示する新たにコレクションに加わった書跡は、故宮コレクションの範囲と時間軸を大きく広げたのみならず、多元的な内容に歴史の変遷とその軌跡も反映されており、故宮書画コレクションの新たな様相もご覧いただけます。

展示作品解說

民国 李瑞清

楷書八言聯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:174.3×37.5cm

李瑞清(1876-1920)、字は仲麟、号は梅庵、清道人など。江西臨川(現在の江西省撫州市臨川区)の人。光緒21年(1895)に進士に及第、官は江寧布政使に至る。後に上海に居を移した。書画をよくし、花卉画と山水画、ともに優れていた。書法は独自の境地に達し、階行篆隷書─いずれも味わい深く古典の趣がある。李瑞清と同じく張大千に師事した曽熙とは親しく交遊し、「南曽北季」と称された。

この八言聯「風標秀挙清暉暎世、天情開朗逸思彫華」は楷書で書かれている。篆隷の筆法に北碑の味わいがある。提按にはやや誇張が見られ、線には震えが見える。筆墨は伸びやかで気韻高く趣深い。没年にあたる1920年に書かれた遺筆である。

張徳粋氏寄贈。(1983年)

民国 趙叔孺

隸書五言聯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:130×22.2 (cm)

趙叔孺(1874-1945)、浙江鄞県(現在の浙江省寧波市鄞州区)の人。本名は潤祥、字は献忱、号は紉萇、後に時棢に改名。晩年は二弩老人と号した。「叔孺」の名で知られた。清代末期の諸生で福建同知を務め、民国以降は上海で隠居生活を送った。金石書画や花卉虫草など、あらゆる画題に精通していたが、特に馬の絵で名を馳せた。

趙叔孺は、楷書や草書、篆書、隷書─各書体に優れていた。この五言聯「善辯模糊字、嫥攻穿鑿文。」は隷書で書かれている。同じく金石学を好む親しい友人に贈ったもので、1932年の作品である。結字は端正かつ謹厳で、点画もバランスよく整っている。書風は両漢碑意の融合が見られ、古拙な趣漂う秀逸な書である。

民国 董作賓

甲骨文七言聯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:132.4×30.1 (cm)

董作賓(1895-1963)、河南省南陽市の人。本名は作仁、字は彦堂、号は平盧。著名な古史学者であり、甲骨学者でもあった。北京大学卒業後、縁あって国立中央研究院歴史語言研究所に入り、殷墟の発掘調査に8回ほど従事した。甲骨文字の研究に卓越した功績を残し、世人の尊崇を集めた。王国維(観堂)、羅振玉(雪堂)、郭沬若(鼎堂)とともに「甲骨四堂」と称される。

この七言聯「万戸春風為子寿、一林明月向人円。」は甲骨文字で書かれている。端正で趣高い筆致は卜辞文の神韻が感じられる。黄杰氏(1902-1995、字は達雲)の誕生祝いに贈った作品である。

黄莉蓉氏、黄文如氏寄贈。(1996年)

民国 馮迥

篆書七言聯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:130.8×26 (cm)

馮迥(1882-1954)、字は超然、号は滌舸、別署は嵩山居士、晩年は慎得と号した。本籍は江蘇省常州市。辛亥革命後は上海の嵩山路に寓居し、居室を「嵩山草堂」とした。絵画を得意としたが書法にも優れ、行書や草書、篆書、隷書などをよくしたほか、印章を刻すこともあった。交友関係も広く、上海画壇において呉湖帆と呉待秋、呉子深とともに「三呉一憑」と称された。

この篆書で書かれた七言聯「山沢高下理所在、金石刻画臣能為。」は1943年の作である。結字は対称的で安定感があり、字勢は縦長となっている。運筆と点画も線の太さが揃い、力強く伸びやかで全体に高古な趣が漂う。「繹山碑」の神韻が強く感じられる。

民国 于右任

草書五言聯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:66.8×16.1 (cm)

于右任(1879-1964)、陜西省咸陽市三原県の人。清代に同盟会に加入し、民国20年以降は監察院長を務めた。書法と詩文に優れていた。于右任の書法は、早期は北碑に根ざしたもので、その体勢には堂々たる風格がある。そこに木簡の要素も取り入れられており、独特の神韻が漂う。中年以降は運筆を方筆から円筆に変え、「標準草書」を提唱した。

この五言聯「澄潭一輪月、老鶴万里心。」は草書で書かれている。上聯は唐代の孟郊(751-814)、下聯は杜甫(712-770)の詩句から取られている。均整の取れた字形は簡明で、悠揚迫らぬ雰囲気がある。力強く簡潔だが円く豊かな運筆に角張った箇所はなく、質朴雄渾な文字は篆文か籀文のようにも見える。これまでにない独特の書風で一派をなした。

民国 張大千

行書七言聯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:136.5×31.7 (cm)

張大千(1899-1983)、四川省内江市の人。名は爰、号は大千居士。若い頃に曽熙と李瑞清から書法を学び、伝統的な筆墨技巧の研究に取り組んだ。43歳の時に甘肅省に位置する敦煌へ赴き、熱心に壁画の臨模に取り組んだ。60歳以降は溌墨溌彩と言われる画法を創始し、偉大な芸術家として国内外で讃えられるようになった。碑学の素朴な味わいを篆隷書に取り入れ、そこに黄庭堅(1045-1105)の筆意も加え、特色ある「大千書体」を生み出した。

この行書七言聯「謝安舟楫風還起、庾信文章老更成。」の運筆を見ると、緩急や停頓、転折に震えが見られ、斜めに傾いた結体は力強く古風な趣があり、独特の境地が感じられる。1973年の作。

民国 江兆申

行書五言聯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:175×47 (cm)

江兆申(1925-1996)、安徽省黄山市歙県の人。早年から家学として伝統的な詩文や書画に触れる機会を得た。1949年に来台し、後に溥心畬(1896-1963)の門下となった。国立故宮博物院副院長を務めた。

この行書五言聯「呼猿向蘿月、招鶴下松雲。」は1994年の作品で、溥心畬の詩句から取られたものである。用筆を見ると、方円合わせて用いているが線は重々しい。結字は下が広がり、北碑の趣があるだけでなく、豊かな円みある篆書の筆意の影響も見られる。筆力は沈鬱な重厚さを感じさせるが、伸びやかで洒脱な雰囲気もある。現存する江兆申の書跡は行書が最も多く、その独特の風格は「江体」と称された。

章圭娜氏(江夫人)寄贈。(2009年)

展示作品リスト

朝代
作者
品名
形式
サイズ
附註
夏鼎
隸書六言聯
130.8×29.4(cm)
王鴻翔
楷書七言聯
143×38(cm)
黄莉容氏、黄文如氏 寄贈
陸恢
隸書七言聯
171.2×37(cm)
民国
高邕
行書八言聯
151.4×37.1(cm)
民国
呉昌碩
篆書六言聯
170.3×28.7(cm)
民国
陳衡恪
篆書八言聯
136.8×22(cm)
民国
李瑞清
楷書八言聯
174.3×37.5(cm)
張徳粋氏 寄贈
民国
曽熙
楷書五言聯
169.2×36.8(cm)
民国
王震
行書七言聯
134.4×32.4(cm)
民国
鄭孝胥
行書七言聯
149.4×39.8(cm)
張徳粋氏 寄贈
民国
褚德彝
隸書七言聯
107.4×22(cm)
民国
康有為
行書五言聯
127×30.8(cm)
民国
梁啓超
楷書七言聯
130.2×32.2(cm)
民国
姚華
行書十一言聯
137.5×22.2(cm)
何応欽氏 寄贈
民国
章炳麟
篆書七言聯
127.8×44.4(cm)
蔡辰男氏 寄贈
民国
呉佩孚
草書七言聯
142.7×32(cm)
民国
趙叔孺
隸書五言聯
130×22.2(cm)
民国
伊立勳
隸書八言聯
141×37.2(cm)
民国
沈衛
行書七言聯
134.6×25.8(cm)
民国
張克龢
篆書八言聯
95.6×16(cm)
民国
董作賓
甲骨文七言聯
132.4×30.1(cm)
黄莉容氏、黄文如氏 寄贈
民国
譚沢闓
行書七言聯
145.5×39(cm)
黄莉容氏、黄文如氏 寄贈
民国
張人傑
行書五言聯
169×42.1(cm)
何応欽氏 寄贈
民国
劉春霖
行書七言聯
130.6×31.3(cm)
吉星福氏 寄贈
民国
辜捷恩
行書七言聯
135.6×33(cm)
黄莉容氏、黄文如氏 寄贈
民国
王禔
隸書七言聯
165×34.8(cm)
民国
湯滌
隸書七言聯
136.8×32.1(cm)
民国
馮迥
篆書七言聯
130.8×26(cm)
民国
黄賓虹
篆書七言聯
149.3×29(cm)
民国
鄭午昌
行書七言聯
124.7×28.8(cm)
民国
鄧散木
行草七言聯
137.8×22.8(cm)
民国
吳鴻
行書六言聯
140.4×31.4(cm)
朱銘源氏 寄贈
民国
龐元済
隸書八言聯
126.8×21(cm)
民国
呉敬恒
石鼓文五言聯
138.5×29.7(cm)
民国
鄧爾疋
行書七言聯
101×20.5(cm)
民国
徐悲鴻
行書五言聯
151×33.4(cm)
民国
葉公超
楷書七言聯
124.8×32.3(cm)
僑務委員会 寄贈
民国
于右任
草書五言聯
66.8×16.1(cm)
民国
呉湖帆
行書八言聯
128.4×20.8(cm)
民国
溥儒
行書七言聯
108.7×25.5(cm)
朱銘源氏 寄贈
民国
龐国鈞
行書七言聯
123×26.2(cm)
朱銘源氏 寄贈
民国
林熊祥
行書七言聯
133.5×33.1(cm)
林宗毅氏 寄贈
民国
王済遠
行楷書七言聯
131×33.2(cm)
王済遠氏 寄贈
民国
張大千
行書七言聯
136.5×31.7(cm)
民国
李猷
行書宋詞十四言聯
160.8×16(cm)
李夫人蔡香芝氏 寄贈
民国
馮康侯
篆書七言聯
134.2×30.5(cm)
黄莉容氏、黄文如氏 寄贈
民国
王壮為
行書五言聯
139×33.2(cm)
林宗毅氏 寄贈
民国
曹容
草書七言聯
134.9×33.8(cm)
曹恕氏 寄贈
民国
謝宗安
隸書七言聯
135.5×33.5(cm)
謝宗安氏 寄贈
民国
江兆申
行書五言聯
175×47(cm)
江夫人章圭娜氏 寄贈