国立故宮博物院の充実した書画コレクションは一朝一夕に築かれたものではありません。本院所蔵の書画作品は、本院創立の際に清朝内府の書画旧蔵品をそのまま継承したもので、歴代王朝によって収集された名品ぞろいです。民国38年(1949)に国民政府が台湾に移転された後もコレクションの拡充が進められ、積極的に書画作品の収集に努めたほか、各界の名士や収蔵家をはじめとして、各機関、団体からもご寄贈いただき、永続的な発展の基礎が固められました。ここ数十年の間に新たに収蔵された書画作品は6千点を超え、質量ともにすばらしいコレクションとなっています。
近年のコレクション拡充は故宮の運営方針と時代との繋がりを示しています。民間からの助力を得て、中華文化をより豊かなものとするために、新しい時代に向け一歩一歩邁進しています。これまでの道のりを振り返り、ご所蔵の名品を個人のものとせず、快くご寄贈くださった各界の皆様方に心より感謝申し上げます。この度は「典蔵新紀元」と題して、近年ご寄贈いただいた多数の書画作品のほか、来台後に新規購入した作品、ご寄託いただいている書画作品を合わせて展示し、公的機関と民間が力を合わせた成果をご覧いただきます。
五代を起源とする「対聯」は、吉祥語(縁起のよい言葉)の対句を2枚の紙に書いて並べる書法作品の一つとして発展しました。時代の移り変わりとともに、文人たちは詩歌や駢文を書く際に使う「対仗」という技巧を生かして聯句に工夫を凝らし、優美な書法で表現するようになり、それを応接間や書斎に掛けるのが書法表現の特殊な様式の一つとなったのです。対聯は入口に掛けられることが多いため、「楹聯」とも言われます。「楹」とは入口の柱のことです。この度の特別展は「典蔵新紀元」シリーズの一つとして、近年、故宮に収蔵された20世紀の対聯の名品50点を展示し、各書家の長所や特色鮮明な対聯の風韻をご覧いただきます。今回展示する新たにコレクションに加わった書跡は、故宮コレクションの範囲と時間軸を大きく広げたのみならず、多元的な内容に歴史の変遷とその軌跡も反映されており、故宮書画コレクションの新たな様相もご覧いただけます。