妙合神離,展出時間 2016年1月9日至2016年3月29日,陳列室 202、204、206、208、210、212
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蔵 ─ 董其昌の書画コレクション

董其昌は書画作品の収蔵家でもありました。16世紀─70年代後半に書画の鑑賞を行うようになり、90年代から歴代書画の名跡の収蔵を始めました。生涯を通して目にした作品、鑑賞または収蔵した書画、法帖の類は数百幅にも及びました。それらの作品を通して書画の研鑽を積みつつ、教養や知識を高め、精神面も豊かにする一方で、書画理論の主要な基礎を構築しました。董其昌の書跡と画作にある題跋は、作品の真贋や優劣に関する品評、源流の特色や流伝の歴史などが記されています。それらの作品に彩を添えるだけでなく、董其昌の書学画論の観点を研究する上でも大切な参考資料であり、芸術上の交流や書画収蔵に関する情報も多く含まれています。

宋 米芾 蜀素帖 卷

  1. 材質 蜀素
  2. サイズ 27.6 x 270.8
展示期間:2016.1.9~2016.2.17

米芾(1052-1108)、字は元章、湖北襄陽の人(現在の湖北省襄陽市)、蔡襄と蘇軾、黄庭堅とともに北宋四大書家とされる。「蜀素帖」は米芾が応林希(1068-1100に活動)の求めに応じて、貴重な蜀素(絹布)に八首の詩を書いた作品である。布地に織り込まれた烏絲欄の枠線内に書かれてはいるが、舞い飛ぶように伸びやかな筆遣いは実に生き生きとして、形式に捉われている箇所は微塵もない。董其昌はこの作品を「全力で象を捉える獅子のようだ」と絶賛している。

董其昌は翰林院に籍を置いていた頃に「蜀素帖」の模本を手に入れていた。その後、万暦甲辰年(1604)に所蔵の名跡数点と交換して、徽州の古董商呉廷からこの巻を入手したが、乙卯(1615)頃に友人の陳巘の手に渡っている。79歳の董其昌は都で再びこの巻を目にした際、深い感慨を覚えたという。

宋 米芾 蜀素帖 卷

元 黄公望 富春山居図 卷

  1. 材質 紙
  2. サイズ 33 x 636.9
展示期間:2016.1.9~2016.2.17

黄公望(1269-1354)、字は子久、号は大癡。江蘇常熟の人(現在の江蘇省常熟市)。書と詩文ともに優れ、山水画も得意とした。呉鎮、倪瓚、王蒙とともに「元四家」とされる。この作品には、富春江一帯に広がる山河の風景が描かれている。深く幽遠な眺めは晴朗開闊でもある。全体の用筆には穏やかな落ち着きがあり、洗練された自在な筆遣いも見られる。黄公望晩年の傑作である。

董其昌は黄公望の画作の中でこの作品を最も高く評価している。万暦丙申(1596)に友人である華中翰の資金援助により、念願かなってこの作品を手に入れてから、長らく大切に収蔵し、繰り返し模写した。晩年に暮らし向きが厳しくなると、同年に進士となった友人の呉正志にやむを得ず担保としてこの作品を差し出すことになった。

元 黄公望 富春山居図 卷