カトリックの年中行事は「教会暦」に沿って行われます。イエス・キリストの偉大な事跡を記念するクリスマスや復活祭、聖霊降臨祭などの行事があります。
- 待降節:イエス・キリスト降臨前の準備期間にあたり、約4週間あります。
- 降誕節:クリスマスからイエスの洗礼日までを言い、イエス・キリストの誕生を祝います。
- 四旬節:復活祭前の準備期間で約6週間あり、心を清めて復活祭を待ちます。
- 過越の聖なる3日間:教会暦の中心的行事で、クライマックスでもあります。この最も神聖な3日間に、信徒らはキリストの受難と死亡、復活に思いを馳せつつ精神を高めます。
- 復活節:復活祭から聖神降臨までの50日間を指します。
- 年間:降誕節の後、約4週から8週間が第1期とされます。復活節の後、約6ヵ月間が第2期とされます。
「教会暦」のコーナーでは、年間を通して行われる各行事で教皇が身につける祭服やストラ、教皇冠のほか、聖体顕示台、聖油入れ、十字架などの儀式用聖器も展示されます。
ヨハネ・パウロ2世(在位期間1978-2005)の中華風祭服と聖帯
- バチカン 教皇儀典室所蔵
この中華風の祭服は、聖帯(オラリ)と腕帛(マニプルス)、聖杯用のヴェール、ブルサとセットになっている。1998年10月15日に教皇庁に収蔵された。この祭服は白い絹布に幾何学的な模様が刺繍され、リボンで装飾されている。正面下部に青とオレンジ色の糸で刺繍された花が二つあり、その間に空色の雲を受ける雛菊がある。雲の上には中華風の衣服をまとい、百合の花を手にした小さな天使が二人いる。その二人の頭上に聖母の袖から垂れ下がる飾りひもが翻り、袖の近くでリボン結びになっている。中央に中華風の聖母が刺繍されている。光背の縁を飾る星の一つ一つに青い宝石がはめ込まれている。聖母マリアの頭部も色違いの宝石で飾られている。聖母と中華風の衣服を着た小さな天使六人が雲の上に立っている。聖帯の縁のデザインも祭服と同様、オレンジ色の十字架三つで装飾され、端に房飾りがついている。
ヨハネ・パウロ2世(在位期間1978-2005)の行列用十字架
- Mario Toffetti製作
- 1996年 イタリア ベルガモ
- 長さ210cm 幅43cm 高さ31cm
- 銀、金・銀メッキ、大理石
- バチカン 教皇儀典室所蔵
ヨハネ23世(在位期間1958-1963)の赤いマントと聖帯
- 1958-1963年
- 布地、刺繡、真珠
- 長さ250cm 幅250cm
- バチカン 教皇儀典室所蔵
この赤いマントにはヨハネ23世の紋章があることから、教皇在位時にヨハネ23世のために作られたか、贈り物の一つであった可能性が高い。マントも聖帯(オラリ)も銅箔糸で作られており、金糸で刺繍した百合の花で飾られている。マントには聖帯を象った細長い装飾1組が縫い付けらられている。その縁は金糸で刺繍された花々の模様、百合の花、木の葉、植物の蔓のような模様で装飾されている。内側は絹糸と金箔糸で刺繍された大きめの花や蔓模様のほか、金銀の絹糸や色糸、真珠を使った教皇の紋章もある。長方形の留め具と細長い帯のような装飾が左右両側についている。留め具は金メッキされた糸で織られたもので、四つの小さな輪と二つの留め具からなる。盾形の衿は上述のようなデザインとなっており、上部に花の模様が刺繍され、金糸で縁取りされている。衿の両端の房飾りは2種類の糸─真っ直ぐな糸とねじり合わせた糸が使われている。聖帯も盾形の衿と同じく縁取りと房飾りで装飾され、マントと揃いの模様と光を放つ3朶のアイリス形の十字架で装飾されている。聖帯の2箇所から金色の縄の模様が始まって最後はリボン形で終わり、端により合わせた糸の房飾りがついている。