肉形石

肉汁たっぷりでいい香りが漂ってきそうな「肉形石」は玉髄類の一種である碧石(ジャスパー)で作られています。もともとある縞模様がおいしそうな豚バラ肉を連想させます。この模様を生かして上から下へと色の濃淡を変えて染められており、醤油で煮込まれた豚肉のような色艶が表現されています。上部の表面にぷつぷつと開けられたごく小さな穴が毛穴のように見えます。硬い石材なのに鍋から取り出したばかりの豚の角煮にそっくりで、柔らかなゼラチン質の皮がぷるぷるしているようです。

色や香り、味までも伝わってくるような「肉形石」は、伝統料理とその背景にある文化の結晶であり、私たちの記憶の中にある美味を思い出させてくれます。

肉形石

翠玉白菜

翡翠で作られた「翠玉白菜」は国立故宮博物院で最も愛されている作品の一つです。翡翠本来の色を巧みに生かして、濃い緑の部分で層になって重なる葉が表現されています。白い部分には亀裂や雑物もありますが、水気たっぷりの新鮮な芯がうまく表現されています。葉先にとまるキリギリスとイナゴを見ると、生命力溢れる田園風景が思い起こされます。

かつて「翠玉白菜」は宮中の華麗な置物の一つでした。根元は木彫りの霊芝に植えられ、盆栽のように琺瑯(七宝焼きの一種)の鉢に立ててありました。高価な宝石である翡翠と長寿や吉祥の象徴である霊芝、色鮮やかな掐絲琺瑯の鉢に植えられていた「翠玉白菜」は、今もみずみずしい輝きを放ち続けています。

翠玉白菜