故宮.熊讚,展覧期間   2017.08.01-10.31,会場 302
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展示概要

伝説によれば、500歳まで生きた熊はあらゆるものに変化できると言われています。私たちの想像を超える不思議な言い伝えですが、今となっては本当かどうか確かめようがありません。しかし、古くからある「熊は力持ち」というイメージは今も変わることなく人々の心に刻まれています。

国立故宮博物院では、「2017年夏季ユニバーシアード」の開催に合わせ、熊を象った文物をテーマにした展覧会を行います。呉(三国)から西晋時代に制作された青磁の熊形灯は両手で皿を持つ小熊のデザインで、当時の照明具だったことがわかります。また、銅玉同形熊形尊は清朝乾隆帝旧蔵の漢代の銅製熊を元に新しく玉で作り直した、倣古と創作を兼ねた作品です。玉人と熊は石材の持つ自然な色─白と黒の2色を生かして、人と熊が楽しげに踊る様子を彫刻した作品です。3種の異なる素材の組み合わせで、競技を通して力と美が結び付く感動的な瞬間を表現します。

展示作品解説

漢/清

銅熊尊/玉熊尊

乾隆帝の「玉熊尊」は乾隆25年に制作された。『西清古鑑』に収録されている「唐飛熊表座」を模して作られた作品である。原作は銅製の熊で、毛並みが金糸と銀糸で表現され、頭部や額、両目など、各所に宝石がはめ込まれている。ごくシンプルな線で表現されているが、華麗な装飾が施されており、漢代に制作された器物の一部、おそらく脚の部分だと思われる。この新たに制作された玉熊は模倣の域を出ていないが、造形は重厚で、温かな質感がある。この作品を見ると、乾隆時代の倣古玉器に求められた要素や品質が理解できる。

玉人と熊

黒と白─玉石の自然の色を生かした彫刻作品。白い玉人の丸々と太った身体は長い線で彫刻されており、黒玉の熊の身体を覆う毛は短線で陰刻されている。人と熊が力比べをする瞬間が工夫を凝らして表現されている。しかし、その瞬間は手に汗握るような勝負ではない。玉人も熊も笑いながら、手に手を取って軽やかに踊っているように見える。この玉彫刻は他の小さな古玩とは異なり、「百什件」に収納されていたことから、「百什件」にはこのように精巧な作りのユニークな作品が多く収納されていたことがわかる。

呉-西晋(3世紀)

青磁熊形灯

灯盞(油皿)と灯柱、3本の脚からなる青磁の熊形灯。腰を下ろして灯盞を支える小熊の姿が目を引く。両腕で力いっぱい灯盞を持ち上げている様子が愛らしい。よく見ると、小熊の胸元と腹部に陰刻の線や指で押した装飾が見て取れる。また、背の方を見ると、尾骨が横向きの直線で示されている。「甘露元年」(265)という銘のある、南京墓葬からの出土品を例証の一つとすれば、この熊形灯の流行と制作年代は3世紀頃だと推測できる。