精選文物と参観路線
親愛なる日本の皆様:
故宮博物館は、この度、日本から修学旅行でご来台する皆様のために、特別精選した文物と参観路線を設けました。14点の人気のある文物の他、文物と日常生活および日本文化との繋がりを通して、文物の知識を学び、更に興味を沢山抱いて頂きたいと思います。この度、新たに設けたルートは、三階の青銅器展示室から始まり、次いで玉器と陶磁器の展示室を経て、最後は一階の集瓊藻陳列室で、解説時間は約60分です。参観の皆様が、ゆったりとしたお気持ちで故宮の旅をなさることを期しております。
- 参観時間:約60分
- お薦めの団体:学生旅行・卒業旅行等
- ルート企画說明:修学旅行に参加されている方は、このルートで、3階から1階まで、計14点の故宮常設展の精選品を鑑賞されることをお薦めします。
展示作業により、陳列室、或いは展示品が変更される場合がありますので、参観なさる当日の情報をご確認ください。(故宮の公式サイトをご確認下さい)
散盤
- 西周晚期
- 紀元前9-8世紀
古代、重要な典礼が行われる前には、必ず手を洗う決まりがあり、盤は手を洗っている時の水を受け止めるためのものでした。盤の面には350字の銘文が彫られており、その内容は主に、散国と夨国(しょくこく)で結ばれた国土の割譲・区分けの立約状況が記されています。当時、散国と夨国の二つの国があったのですが、夨国が散国を侵略したため、双方の争いに発展。後に夨國が国土を割譲して賠償することを認め、双方で土地契約が結ばれました。これは中国初の土地契約です。散国は、この出来事の全てを詳細に記録し、子孫に伝承したのです。
散盤の側の盤面の銘文の拡大図をご覧ください。その中に「丼」という字がありますが、親子丼や海鮮丼などを思い出されたのでは?・・・其の実、「丼」は、当時この地に存在した一つの国名なのです。日本の漢字の「丼」は、擬音語で、井戸の中に物を投げ入れた時に発する音として使われいます。日本では恐らく発音が似ているため、「どん、どんぶり」の漢字を「丼」で表現したのでしょう!
雙龍紋簋
- 西周早期
- 紀元前11-10世紀
「簋」は食器の意味で、ご飯を盛る器として使われました。器の蓋を見ると、4本の角が見えますよね!よく見ると、それは2匹の龍の角であることが分かります。側の壁に貼られた拡大図をご覧ください。一匹の龍の角は、円錐形で、もう一匹の龍の角は柱の形をしています。龍の頭は蓋の上にあり、身体は器にぐるりと下まで巻き付いています。蓋をする時は胴体の模様に合わせしないと、胴体と頭は繋がりません。このようなデザインは、実に特殊且つ精緻で、器上の錆も、まるで装飾が施されているように見えます。
人足獣鋬匜
- 西周晚期
- 紀元前9-8世紀
古代、重要な儀式や典礼の前に、必ず手を洗う決まりがありました。「匜」(い)は水を入れて、手に注ぐための器で、「盤」は洗い終わった水を受け止めるための器です。日本でも、お寺や神社を参拝する前に、手を洗って清めますよね!こうしてみると、真心は時代を分かたず、国籍の区分もナシ!なのですね!
この文物の取っては、動物の姿をしていて、器の中に頭を深く入れています。水を飲みたがっているようですね!更に器の四本足は、人間の姿です。実に特殊な器だと思いませんか?
この器に、見覚えのあるような気がしませんか?ステーキのソース、或いはカレーの汁を入れる容器に似ていませんか?
嵌綠松石金属絲犠尊
- 戦国中期
- 紀元前4-3世紀
これは酒器の一種で、背中にある蓋を開けて、お酒を入れ、注ぐ時は口から注ぎます。この「犧尊」(ぎそん)は、想像上の神霊動物と言われており、可愛らしく、また華やかな感じもします。首と目には金の裝飾、頭上にはトルコ石が散りばめられており、胴体は金や銀絲で飾られています。参観される方からは、「この動物は小さなサイだ」とか「犬に似ている」とか「マレーバクに似てる」などの声がありますが、あなたはどう思われますか?
日本では、悪夢を見た時は、『この夢をバクにあげます』と言うと、同じ悪夢は二度と見なくなると言われています。
バクは、中国から日本に伝来した一種の想像上の動物で、年月を経て、バクは悪夢を食べてしまう「夢を食べる獣」になったと推測されています。
室町時代、バクの画像や「貘」の字には、吉祥のイメージがあるとされていました。お正月、良い初夢を見る為に、人々は枕の下に宝船の絵を敷くと同時に、船の帆に「貘」の字を書きました。江戶時代には、更に箱枕(はこまくら)の上にバクを描いたり、バクの形の枕まで現れたそうです。
皆様。本院2階の陶磁器陳列室の「嬰児枕」も是非ご覧ください。「嬰児枕」にも吉祥の意味が込められていますよ!