巨幅書画,展覧期間 2019年7月1日至2019年9月25日,北部院区 会場 202
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展示作品解説

明 太祖坐像

  1. 形式:軸
  2. 尺寸:291.4x162.8 cm

 明太祖(在位期間1368-1398)、明朝開国の皇帝、姓は朱、名は元璋、年号は洪武。濠州(現在の安徽省鳳陽県)の人。孤児だった朱元璋は皇覚寺に身を寄せて僧侶となったが、元代末期に群雄が並び起こる中、雄才を発揮して、平民から身を起こして皇帝となった。
 絹地に着色で太祖坐像が描かれている。整った筆致に謹厳な風格、巨大な画幅、堂々たる気風漂う肖像画である。画中の皇帝は「烏紗折角向上巾」を戴き、「円領織金盤龍皇袍」を身にまとい、金の肘掛付きの椅子に端座している。ふくよかで威厳に満ちた容貌、短く黒い鬚、盛年期の姿を描いた肖像画である。

明 戴進

春酣図

  1. 形式:軸
  2. 尺寸:293.4x172 cm

戴進(1388-1462)、字は文進、号は静庵、銭塘(現在の浙江省杭州市)の人。南宋院体画を継承し、浙派の画風を確立した。推挙されて宣徳年間に宮廷に入ったが重用されず、辞して帰郷した。
 この作品には、川沿いの山道を酩酊した村人たちが千鳥足で登って行く様子が描かれている。高く聳える奇峰、大斧劈と皴法による山石、筆画は転折が多く、洗練された滑らかな線で衣服が描かれており、力強い筆勢や墨色の変化も見られる。無名款だが、旧籤は戴進作としている。

明 許儀

荷香清夏

  1. 形式:軸
  2. 尺寸:199x95.9 cm

 許儀(1599-1669)、字は子韶、号は歇公、鶴影子など、江蘇無錫(現在の江蘇省無錫市)の人。李采石の甥にあたる。李采石の画風を継承したが、それを超える評価を得た。山水画や人物画、界画、花鳥虫魚画など、いずれにも優れていた。
 この作品には、美しい大輪の花を咲かせつつ、すっくと立つ蓮が描かれている。青々とした葉が鮮明に描かれており、艶やかで麗しい蓮の姿が勾勒填彩で表現されている。花の筋と葉脈の輪郭線は細く、部分的に白粉と石青が使われている。許儀は筆で印を描くのを好んだと伝えられる。左下角に「子韶」と「許儀」、二つの印がある。

明 劉度

倣趙承旨長春翠柏

  1. 形式:軸
  2. 尺寸:284.4x97.5 cm

 劉度(17世紀に活動)、字は叔憲または叔献、銭塘(現在の浙江省杭州市)の人。初めは藍瑛に絵を習い、その後、李思訓や李昭道、趙伯駒の影響を受けた。緻密で謹厳な画風が特徴。
 この作品には、斜めに傾く松の老木が描かれている。その根元に藤や霊芝、古寂びた岩が添えられている。画題は趙孟頫を倣ったものだが、用筆と着色に特色があり、洗練された清麗な趣や、穏やかな雰囲気漂う独特の眺めは、劉度の画作には珍しい佳作である。1643年の作品。

明 謝時臣

倣李成寒林平野 文徵明題長歌合卷

  1. 形式:卷
  2. 尺寸:畫42.5x159; 書42.5x1714.4 cm

 謝時臣(1488-1567は在世)、文徴明(1470-1559)、江蘇蘇州の人。両者とも沈周の画風を継承した。
 この作品は題が先にあり、その題に合わせて絵が描かれた。丙申(1536)の年に謝時臣が紙を携えて文徴明を訪ね、書を求めたところ、文徴明は李成の「寒林平野図」を見てから「長歌」という題を書したという。それから十数年後の丁未(1547)、謝時臣は李成の絵を倣って本作を描いた。老木が立ち並ぶ寒々とした風景に漂う雲霧、谷間を流れるせせらぎ─いずれも李成系統の画風である。文徴明による行書は黄庭堅の風格で書したものだが、5寸を超える大字を書く時のみ、筆力がやや弱くなる。

展示作品リスト

年代
作者
作品名
形式
作品サイズ (cm)
太祖坐像
291.4x 162.8
戴進
春酣図
293.4x172
許儀
荷香清夏
199x95.9
劉度
倣趙承旨長春翠柏
284.4x97.5
謝時臣;文徵明
倣李成寒林平野 文徴明題長歌合卷
畫42.5x159; 書42.5x1714.4