元 呉鎮 墨竹譜

呉鎮(1280-1354)、嘉興(現在の浙江省嘉興市)の人。詩文に優れ、書画も得意とした。元四大家の一人に数えられる。

この冊は至正10年(1350)に息子の仏奴に贈った画作である。全二十二開あり、前の二開に蘇軾の「題文同画竹記」が書いてある。その後に新篁や嫩枝、老幹、垂葉、雨竹、風竹、雪竹などの二十作が続く。真っ直ぐに伸びる太い竹の幹や風にそよぐ細い枝など、古朴な趣に瀟洒な雰囲気が漂う。各幅に墨竹を描く秘訣や所感なども草書で記されている。正しく書画一体の佳作だと言えよう。