清明上河図特別展、ショー日:2016.04.02-06.26、Northern Branch ショールーム:210
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展示概要

国立故宮博物院が所蔵する「清明上河図」計八巻は、張択端(12世紀前期に活動)の署名がある作品、仇英(1494頃-1552)と題のある「清明上河図」、「清院本清明上河図」の3種類に分類できます。前者2種は構図や内容を見ると、主に張択端の「清明上河図」を参考にした作品だとわかり、模写や偽作に分類されるものの、それまでの「清明上河図」には見られない街角の新しい風情や時代的な風潮も取り入れられており、宋代のものとは趣の異なる作品となっています。

北宋時代の張択端による「清明上河図」(北京故宮博物院所蔵)は宋代風俗画の大作で、北宋の都「開封」を流れる汴河両岸の繁栄ぶりが描写されています。その写実的な手法や伝奇的な流伝史が鑑賞者と収蔵家の耳目を集めたのはもちろんのこと、芸術史研究者が注目する研究テーマの一つにもなっています。しかし、この作品に関しては議論百出で、諸説が入り乱れる中、「清明上河学」が成立しました。また、歴代の画家たちはそれぞれ違った視点から新しい習俗や文化を取り入れつつ、その時代ならではの「清明上河図」を描きました。模写や模倣作なども加えると、現代まで伝えられた作品は膨大な数に上り、百巻を超えるとも言われます。現在、それらの作品は各地の美術館や個人に収蔵されており、この点からも「清明上河図」の影響力の大きさがうかがえます。

「清院本清明上河図」は画院の陳枚(1694-1745)を筆頭に、孫祜、金昆、戴洪、程志道─5名の画家による合作です。ありとあらゆる文化や習俗が精緻な筆致で丹念に描かれており、画家たちの長所が結集された古典的な名作で、宋代の張択端「清明上河図」に匹敵する見事な作品です。同時代の沈源が描いた「清明上河図」は素材も着色法も「清院本」とは異なりますが、全体の構図や事物、船や車などの乗り物と人物の配置にはほとんど違いが見られず、清朝画院が長巻の大作を製作した際の過程が見て取れます。

本院には質量ともにすばらしい「清明上河図」が収蔵されていますが、全ての作品が展示されることはめったにありません。本年はこの作品群に合わせて清明節にあたる4月に特別展を開催いたします。計8点の「清明上河図」を同時に展示し、美しく華やかな視覚の饗宴をご覧いただきます。明代と清代の画家たちが描いた「清明上河図」の多元的な表情をぜひお楽しみください。

展示作品解説

宋 張択端 清明易簡図

  1. 形式:卷
  2. サイズ:38×673.4(cm)

作品名の「清明易簡図」は、『易経・繁辞』の「易則易知,簡則易從。」(易なれば知り易く、簡なれば従い易い。)から取られている。繁栄を極める都市の勝景が一目でわかるように描いたのだろう。
張択端(12世紀に活動)、字は正道、東武(現在の山東省諸城市)の人。船や車、町中の橋、家屋などの描写に優れていた。北京故宮博物院所蔵の張択端作「清明上河図」は、後世の画家たちに繰り返し模写された。この作品は、郊外の風景、嫁入り行列、虹橋界隈の商店や物売り、城壁の内外の様子、天津の橋などの段落に大きく分けられる。山石と樹木の描き方は原画との差が大きく、画力も不十分で稚拙な感がある。着色は装飾的で、全体が平面的であることから、明代の模写作品だと考えられる。

明 仇英 清明上河図

  1. 形式:卷
  2. サイズ:34.8×804.2(cm)

この作品は他の「清明上河図」とは少々異なっている。舞台で上演中の芝居や射柳(軍隊で行われた遊戯の一種)、雜耍特技(曲芸や見世物)、走索(綱渡り)、軍による検閲の様子などに違いが見られる。金明池で行われている競渡(ボートレース)の丁寧な描写や華麗な楼閣、歇山式の屋根を飾る「脊獣」(棟の装飾)は今にも躍り上がらんばかりで、豪華絢爛な宮殿の美が強調されている。龍池の搶標(旗を奪う遊戯の一種)や舞踊など、清明節の行事がたいへんなにぎわいを見せている。濃厚な着色も他の作品には見られないもので、石青や石緑、朱砂、藤黄、胡粉、紫色などの顔料を大量に用いた、鮮明で華やかな画面となっている。また、水面に広がる波紋の描き方や図案化された山石などが、幻想的な空間を作り出している。明代の「蘇州片」の画家が仇英の画風を意図的にまねた作品だと思われる。

清 院本清明上河図

  1. 形式:卷
  2. サイズ:34.8×804.2(cm)

この作品は他の「清明上河図」とは少々異なっている。舞台で上演中の芝居や射柳(軍隊で行われた遊戯の一種)、雜耍特技(曲芸や見世物)、走索(綱渡り)、軍による検閲の様子などに違いが見られる。金明池で行われている競渡(ボートレース)の丁寧な描写や華麗な楼閣、歇山式の屋根を飾る「脊獣」(棟の装飾)は今にも躍り上がらんばかりで、豪華絢爛な宮殿の美が強調されている。龍池の搶標(旗を奪う遊戯の一種)や舞踊など、清明節の行事がたいへんなにぎわいを見せている。濃厚な着色も他の作品には見られないもので、石青や石緑、朱砂、藤黄、胡粉、紫色などの顔料を大量に用いた、鮮明で華やかな画面となっている。また、水面に広がる波紋の描き方や図案化された山石などが、幻想的な空間を作り出している。明代の「蘇州片」の画家が仇英の画風を意図的にまねた作品だと思われる。

清 沈源 清明上河図

  1. 形式:卷
  2. サイズ:34.8×1185.9(cm)

沈源、生没年不詳。仏像画に優れ、山水画と界画も得意とした。乾隆年間(1736-1795)に内廷に仕えた。
 沈源の「清明上河図」の構図や場面の配置は「清院本清明上河図」とほとんど違いが見られない。前段の郊外の風景に加えられた墓参りをする人物や、中段の虹橋付近に食堂や商店が加えてあるなど、細かな箇所に増減があるのみである。店名や建築物の構造と画法にも若干の違いがあり、状元府第の庭園の風景もやや異なっている。この作品は紙に水墨で描かれているが、人物や建物の輪郭線は赤褐色を用いており、清新淡雅な趣が漂う。橋や家屋、人物の描写は極めて細やかで整っており、清代画院の佳作と言える。

展示作品リスト

年代
作者
作品名
形式
サイズ
(伝)宋
張択端
張択端清明易簡図 卷
38x673.4
張択端
張択端清明易簡図 卷
29.7x606
仇英
仇英清明上河図 卷
28.2x439
(伝)明
仇英
仇英清明上河図 卷
34.8x804.2
仇英
仇英清明上河図 卷
28.6x560
清院本
院本清明上河図 卷
35.6x1152.8
沈源
沈源清明上河図 卷
34.8x1185.9
清人
清人清明上河圖 卷
31.1x678.6