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展示概要

宋代の画家趙昌(10世紀末頃-11世紀初頭)の「歳朝図」は故宮所蔵作品の中でも独特の風格があります。圧縮されたような構図には奥行きがあり、上に向かって層を重ねるように描かれ、斜面の岩石や複雑に交錯する植物で画面全体が埋め尽くされています。自然の風景を図案化した中に面白みがあり、装飾性の高い作品となっています。北宋郭若虚『図画見聞誌』に「鋪殿花」という絵画作品に関する記述があります。それには、「徐熙は縑素(書画用の絹布)に草花や積み重なる岩石を描き、そこに薬草などを添え、鳥類や昆虫の美も取り混ぜている。南唐最後の君主李煜の宮廷用装飾品として供されたもので、『鋪殿花』と言われた。『装堂花』とも言う。端整で荘重な趣があり、隙間なく整然と描かれている。その多くが自然の事物を写生したものではなく、あまり鑑賞されることもなかった。」とあります。この説明に合致する「歳朝図」は「鋪殿花」を代表する作品です。画面全体に地色として塗られた群青が、絢爛華麗な雰囲気を高めています。故宮が所蔵する五代南唐徐熙(10世紀初頭に活動)の作と伝えられる「玉堂富貴」もこの画風に属します。

「鋪殿花」という様式で描かれた作品は、華麗で装飾的な宮廷用の絵画として描かれました。図案的な構図のほか、丁寧で細やかな筆致や豊かな色彩も欠かせません。「歳朝図」はまず輪郭線を描いてから彩色する、「双鉤填彩」という画法が採られています。細緻な用筆だけでなく、型にとらわれない自由な筆遣いの妙も感じられ、運筆も自然で滑らかです。加えて臙脂、辰砂、鉛白、緑青、群青などの明るく美しい色彩が、華麗で堂々とした画面をより際立ったものにしています。

詩塘に清高宗乾隆帝(1711-1799)の題跋があり、作品の空間配置や植物の枝の切り取り方など、不適切な箇所を指摘しています。破損して切り取られてしまった部分があるため、原作はもっと大きかったはずで、屏風絵の一枚だった可能性もありますが、今となっては定かではありません。筆墨の風格は明代宮廷画家のそれにやや近いと言えます。この作品は趙昌の原作ではありませんが、目にも鮮やかな「鋪殿花」の美が充分に表現されています。