文物紹介
この銅胎画琺瑯黒地五彩雲紋穿帯盒の器内は水色の釉で、外側は黒地に五彩の流雲で装飾されている。両面の紋飾は等しく、五彩流雲は淡い色から濃い色へと4層に色が重ねてあり、画琺瑯釉の特色が十分に表現されている。色鮮やかな五彩流雲と艶やかな漆の黒地が色調と動静の強烈な対比をなしている。盒の底はややへこんでおり、黒地に赤い夔龍一対が長方形の枠を囲み、枠内には「雍正年製」という赤い宋体字款がある。清朝宮廷の『活計档』の記録によれば、雍正7年(1729)に洋漆万字錦中結式盒を見た皇帝はそれと同じような黒い琺瑯盒を作るようにと工房に命じたという。本院が所蔵する日本の蒔絵印籠がこの器形によく似ていることから、この造形は日本の印籠が元になっていると推測される。