文物紹介
大きく開いた口、薄い口縁。見込みは浅く、低い高台が付いている。胎はやや厚く、外側は黄色の琺瑯料を地とし、前後両面に枝付きの牡丹の花2朶が描かれている。碗の内側は純白無地で、高台の縁に白い筋が残されている。底に青で書かれた「康熙御製」4文字の宋体款があり、二重の枠で囲んである。纏枝牡丹紋は明朝以来、磁器によく使われた装飾模様だが、この作品は花弁が外側に向かって長く伸ばされており、花弁の質感を表す細い線と小さな丸い点が花弁上にはっきりと見て取れるほか、花弁の縁を白くぼかしてあるなど、伝統的な画法とは大きく異なっている。西洋画琺瑯器と対照すると、白粉を使って明暗の違いを表現してあることから、この作品の画法との類似性を見出すことができる。或いは、清朝の画琺瑯工芸が研究開発される中で、西洋の完成品を参考に生まれた作品の一例とみなせる。