清 銭慧安
瑶仙献瑞
- 形式:軸
- サイズ:244.2 x 121.2 cm
銭慧安(1833-1911)、字は吉生、号は双管楼、谿樵子など。宝山(現在の上海市宝山区)の人。陳洪綬や黄慎、費丹旭、民間の年画などから影響を受けたほか、西洋画の技法も取り入れるなどした。海派を代表する人物画家の一人である。
この作品の人物は力強い線で描かれているが、その姿は穏やかで気品がある。題識には白陽山人陳淳(1484-1543)の筆意に倣ったとあるが、表現の手法は古今の筆法が入り混じっており、時代的な色彩濃厚な作品となっている。瑤池の仙人が蟠桃(食べると不老長寿になるという仙境の桃)を贈る場面は吉祥を意味し、民間で長寿を祝う際の典型的な題材の一つである。
清 蒲華
山水
- 形式:軸
- サイズ:241 x 117 cm
蒲華(1830-1911)、浙江嘉興(現在の浙江省嘉興市)の人、上海に寓居した。本名は成、字は竹英または作英、胥山外史という署名も見られる。早年に描いた花卉画は徐渭と陳淳の伝統を継承している。晩年は文同に心酔し、墨竹画を描いた。蒲華の描く山水の風景や樹石には活力があり、石涛や石谿の画法に変化が加えられている。
この作品の運筆を見ると、古拙の内に秀雅な趣が溢れ、滑らかな線は力強く、柔和な中に剛健さもある。左下に見える数株の樹木に家屋が見え隠れしている。建物内の人物が彩りを添え、秀雅な趣が楽しめる。構図と配置は全体にかなり斬新だが、詩意に満ちている。47歳─中年期の作品である。
民国 陸恢
霜林紅樹
- 形式:軸
- サイズ:245.6 x 123.2 cm
陸恢(1851-1920)、江蘇呉江(現在の江蘇省蘇州市呉江区)の人。本名は友奎、字は廉夫、号は狷庵、破仏盦主人など。書画に優れていた。山水画は陶詒孫に、花卉は初め劉徳六に師事し、古くは惲南田に遡って花卉画を学んだ。呉大澂に認められてその幕府に入り、多数の収蔵品を鑑賞する機会を得て急速に進歩した。
この作品には秋の風景が描かれている。題款を見ると、清代の名家呉歴(1632-1718)の倣作だと知れる。重なる山々と樹石、用筆などに見られる芸術性もまた精妙で、質朴かつ雄健な気勢が感じられる。素朴でありながら味わい豊かな趣がある。
民国 江兆申
層巒畳嶂図
- 形式:軸
- サイズ:377.2 x 146.4 cm
江兆申(1925-1996)、字は茮原、安徽歙県(現在の安徽省黄山市歙県)の人。1949年に来台し、溥心畬の門下となった。その後、国立故宮博物院の研究員となり、書画処処長及び副院長などを歴任した。書画や篆刻、詩文に精通し、美術品の鑑賞や美術史研究において卓越した業績を残した。この作品には、山々が重なり連なる雄大な風景がゆったりと穏やかな構図で描かれている。滑らかで精妙な筆法は変化に富み、墨韻豊かなだけでなく洒脱な雰囲気もあり、空間の奥行きを感じさせる。静けさを湛える画面には文人らしい趣が漂う。
宋膺三氏寄贈(2001年)
民国 馬晋
百駿図
- 形式:卷
- サイズ:98.2 x 827.8 cm
馬晋(1900-1970)、字は伯逸、号は湛如。1922年から金城に師事して絵画を習い始めた。馬の絵を得意とし、郎世寧(カスティリオーネ / 1688-1766)の画法を学んだ。花鳥画と書法ともに優れ、刻印や凧の制作もした。早年は絵を売って生計を立て、後に北京画院の画師となった。この作品は清朝旧蔵品である郎世寧の「百駿図」巻を模写したものである。精緻な用筆と艶麗な着色が見られる。1923年の作品で、早年の習作である。
何応欽(1890-1987)将軍遺贈品で、巻末に于右任(1879-1964)が1952年に記した草書の題識がある。