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鑑蔵制作

乾隆朝に至り、清朝宮廷の文物コレクションは盛観を呈していました。乾隆帝は在位期間中に書画、図書、器物、文房具などを含む各種収蔵品の大規模且つ系統的な整理を行い、考証、鑑別、等級の評定などを通じて収蔵品の善し悪しを判定しました。鑑別は幅広い分野で行われ、優秀な宮廷工房の職人、造弁処の役人、学識に富んだ詞臣など、いわば宮廷の各領域における最も傑出した専門家が作業に携わりました。こうした収蔵文物の整理編成により、乾隆帝も系統的に宮中のコレクションを理解し、関連の知識体系を確立することができました。その知識は不完全や誤りも少なくなかったものの、乾隆帝の見解は文化歴史への豊かな知識と宮中の大量のコレクションに基づく拠り所のあるものだったと言えます。これらの古文物に対しては模造を命じたものもあれば、図録を作成して製作時の依拠とし、これを基に材質や造型などを変化させた作品を製作させることもありました。乾隆年間に製作された膨大な文物は、自身が治める宮廷の工芸水準が古代のそれに匹敵し得ることを誇示する乾隆帝の野心の表れであり、同時に西洋芸術の新しい要素を大量に採り入れたのは、これまでのどの工芸をも超える最高峰を目指すためでした。乾隆帝による文物の収蔵、鑑別及び製作は、互いに連動し合い、密接な関係を持ちながら、古今を凌駕する偉大なコレクションを築き上げたのです。

2-1 整理編目

宮廷所蔵品に対する全面的な整理と目録の作成を行うことで、乾隆帝は皇室コレクションに関する知識体系を確立し、古代の書画、器物及び善本などの芸術品に対する理解と鑑賞力を深めました。


乾隆帝年間に行われた所蔵品の大規模な整理は、書画作品を分類して目録にした「祕殿珠林初編」及び「石渠宝笈初編」に始まり、宮廷内に陳列されていた青銅器と古い硯については図録として「西清古鑑」及び「西清硯譜」にまとめられました。図書については大量の人力を投入し「四庫全書」及び「薈要」を編纂したほか、宮廷に珍蔵された善本を「天禄琳琅書目」に収めています。また、乾隆帝の法書名跡への熱中ぶりは「三希堂法帖」、「敬勝齋法帖」、「淳化閣帖」及び「重刻淳化閣帖」からうかがうことができるでしょう。乾隆帝が名家の法書を繰り返し整理したことは、古代の書法に対する愛好の表れであるとともに、知識面から芸術作品を改めて解読しようとした試みがうかがえます。

清 乾隆 御製続纂秘殿珠林石渠宝笈序玉冊

清 乾隆 御製続纂秘殿珠林石渠宝笈序玉冊

高さ18.6cm 幅12cm 厚さ4cm

2-2 品評鑑賞

乾隆帝は宮廷のコレクションを整理し目録を作成したほか、所蔵品の真贋、年代、質量についても全面的に淘汰選別し、等級分けを行っています。品評には皇帝自身の意見のほかに、詞臣、造弁処の役人、工房職人など大勢の見解が採り入れられたため、その成果は乾隆朝の全体的な鑑賞水準を表すものと言えるでしょう。乾隆帝はまず所蔵品を「上等」と「次等」に分けた後、それぞれの分類に見合った方法で品評を行いました。書画作品については「神、妙、能、逸」を評価の基準とし、作品の本紙や題簽に直筆、または印により品評の結果を残しています。磁器と玉器は、器物本体もしくは高台の底部に「甲、乙、丙」などの等級を刻み込みました。乾隆帝の所蔵品への感想や意見は詩文の形式を取り、後世の鑑賞者の目に必ず留まるよう作品や包装に直接書いたり、彫刻されたりしました。これらの詩文の多くは書録や御製詩文集に収録されています。

清 乾隆 高宗 是一是二図

清 乾隆 高宗 是一是二図

軸 紙本着色

縱76.5cm 横147.2cm

北京故宮博物院所蔵

北宋 汝窯 青磁碟

北宋 汝窯 青磁碟

口径13cm 足径8.8cm 高さ3.3cm

北宋 汝窯 青磁盤

北宋 汝窯 青磁盤

口径21.5cm 高さ4.6cm

北宋 汝窯 天青釉洗

北宋 汝窯 天青釉洗

高さ3cm 口径12.9cm 足径8.9cm

北京故宮博物院所蔵

明~清 古玉改製仿古斧珮

明~清 古玉改製仿古斧珮 木匣・御製文 付属

長さ10.2cm 幅7.8cm

清 王翬 山水冊 第四見開き 仿盧鴻草堂図 第七見開き 倣恵崇山水

清 王翬 山水冊 
第四見開き 仿盧鴻草堂図
第七見開き 倣恵崇山水

冊 紙本水墨

縱24.4cm 横 31.5cm

清 冷枚 春夜宴桃李園図

清 冷枚 春夜宴桃李園図

軸 絹本着色

縱188.4cm 横95.6cm

傳宋 趙伯駒 春山図

宋 趙伯駒 春山図

軸 紙本着色

縱89.5cm 横32.3cm

宋 馬遠 華燈侍宴図

宋 馬遠 華燈侍宴図

軸 絹本着色

縱125.6cm 横46.7cm

傳元 倪瓚 画譜

元 倪瓚 画譜

冊 紙本水墨

縱23.6cm 横14.2cm

清 張宗蒼 画山水

清 張宗蒼 画山水

軸 紙本水墨

縱138.1cm 横64.3cm

2-3 仿製創新

乾隆帝は宮廷における文物の製造を自ら主導、監督し、自身の趣向を体現、実践させました。


模造は乾隆帝が自身の審美趣向を伝えるための最も重要、且つ直接的で具体的な方法でした。例えば蘇州や揚州で作られた玉器が好みに合わないと、直ちに古代の銅器や玉器を模作せよとの対策を打ち出しています。乾隆帝のこのような提案は、職人たちにとっても極めて明瞭な指示だったことでしょう。「模造」を思い立ったのは模造対象に対する愛好、学習、及び敬意を示すものに他なりませんでしたが、先人を超越したいという野心があったのも確かです。例えば統治下に収めた新彊から大きな玉塊を手に入れ、これを素材に古代の礼器を模造させた時に次のような言葉が残されています。「端知遠勝夏商貽,包來禹貢曾無見,一以欣而一愧之」(器形は古代のものであるが、当時はこんなに大きく美しい玉を手に入れることはできなかった。喜びの一方で恐縮の思いもある)。このように古典作品を異なる材質で何度も複製、再現したのは乾隆帝の負けん気の強さの表れとも言えるでしょう。しかし、こうした模造により新たな契機が切り開かれたのもまた事実です。


乾隆帝は珍奇なものを好みましたが、斬新さだけが芸術の評価に必要な条件ではありません。磁器以外の作品については「新しさ」を採り入れるよう積極的に奨励、もしくは要求することは少なかったからです。オリジナルとは異なる新しさが採り入れられるのは、伝統と対抗、或いは客観的な環境の変化への順応のためであり、特に異国文化や技術、新しい材料による影響も大きかったと思われます。

《欽定四庫全書薈要》

《欽定四庫全書薈要》

清高宗勅纂

清乾隆年間摛藻堂四庫全書薈要写本

清 乾隆 仿泥金釉朝天耳蓋鼎

清 乾隆 仿泥金釉朝天耳蓋鼎

高さ30.5cm 口径20.7cm 足間距離10cm

北京故宮博物院所蔵

清 乾隆 洋彩黄錦地葫蘆形交泰転心瓶

清 乾隆 洋彩黄錦地葫蘆形交泰転心瓶

高さ30.2cm 口径3.7cm 足径10.4cm

清 院本漢宮春暁図

清 院本漢宮春暁図

卷 絹本着色

縱 32.9cm 横718.1cm

清 余省 絵無射戒寒

清 余省 絵無射戒寒

軸 紙本着色

縱180cm 横106.3cm

清 周鯤 絵林鐘盛夏

清 周鯤 絵林鐘盛夏

軸 紙本着色

縱178.4cm 横106cm

清 張廷彦 画登瀛洲図

清 張廷彦 画登瀛洲図

軸 紙本着色

縱169.2cm 横87.9cm

清 張若澄 画葛洪山居図

清 張若澄 画葛洪山居図

軸 紙本着色

縱168.3cm 横75.1cm